古物商には帳簿の記録義務がある
古物商は、盗品の売買の防止やその速やかな発見を図るため、①取引相手の真偽の確認義務、②取引記録の保存義務、③不正品等発見時の警察官への通報義務の3大義務が課せられています。
このうち、取引記録の保存義務として、古物商は取引をしたときはその都度、帳簿に記載し、又は電磁的方法により記録しておかなければなりません。
保存する義務がある
古物台帳は最終の記録をした日から3年間営業所に備え付けておかなければなりません。また、古物台帳を紛失したときは、直ちに営業所の所在地を管轄する警察署に届け出る必要があります。
なお、古物台帳は電磁的記録でも可なので、紙ベースではなく、エクセルなどで管理・保存しても問題ありません。
これらの記録義務や保存義務を怠った場合には、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される可能性がありますので注意しましょう。
古物台帳とは
古物商は、以下の内容を帳簿(古物台帳)に記録する必要があります。
- 取引の年月日
- 古物の品目及び数量
- 古物の特徴
- 相手方の住所、氏名、職業及び年齢
- 相手方の確認方法(どのような方法で確認をしたかの記録)
古物台帳の様式
古物台帳の様式は、古物営業法施行規則により、下記の図のように示されています。
出典元:古物営業法施行規則別記様式第15号(第17条関係)
古物台帳は、この様式に則っていればどのようなものを利用しても構いません。
そのため、例えば、ご自身でエクセルなどで作成した古物台帳を使用することもできますし、ノートに手書きで作成したものでも構いませんし、行政書士が配布している古物台帳のフォーマットを使用することもできます。いずれの方法でも問題ありません。
当事務所で作成のフォーマットは以下からダウンロードできます。
古物台帳の書き方
受入れ欄
受入れ欄は主に仕入れに関する取引を記録していきます。受入れ欄の記載は、原則として仕入れの総額が一万円以上の取引を記録していく必要があります。
したがって、仕入れの総額が一万円未満の取引は原則、古物台帳に記録する必要はありませんが、一万円未満の取引であってもゲームソフト、CD・DVD等、書籍、オートバイ(部品も記録義務があり、ねじやボルトなどの記録は免除)は記録する必要があるので注意しましょう。
- 「年月日」 … 古物を仕入れた日付を書きます。一般的に日付が分かる表記であれば和暦、西暦問わずいずれの書き方でも問題ありません。
- 「区分」 … 買受け又は委託、交換の別を記載します。一般的な仕入れの場合は買受けと記載します。
- 「品目」 … 一品ごとに記載します。例えば、衣類やゲームソフト、時計などと記載します。
- 「特徴」 … その古物の特徴を記録していきます。例えば時計であればオメガ、何型、何番、文字板に傷ありなどと記載し、自動車であれば自動車検査証から自動車登録番号又は車両番号、車名、車台番号と所有者の氏名などを記載します。ただし、例えば安価な古本を一度の取引で大量に買い取った場合などは、「特徴」項目の記入を省いてまとめ書きしても問題ありません。
- 「数量」 … 数量を記載します。
- 「相手方の真偽を確認するためにとった措置の区分(及び方法)」 …本人確認を行った方法を詳細に記録し、運転免許証やマイナンバーカードにより確認した場合にはその番号など特定できる情報まで記録します。
- 「取引の相手方」…取引相手の情報を記載していきます。なお、その帳簿に既に住所、氏名、職業、年齢が記載してある者との取引については、氏名以外の事項で変更がない部分は省略することができます。
払出し欄
払出し欄は、主に販売時の情報を記録していきます。
払出し欄は原則として、一万円以上の取引でかつ美術品類、時計・宝飾品、自動車(部品含む)、オートバイ(部品含む)の場合に記録する必要があります。一万円未満の取引は、オートバイ(部品除く)に限って記録する必要があります。
- 「年月日」…販売等をした年月日を記載します。年月日は一般的に分かれば西暦でも和暦でもどのような記載の仕方でも問題ありません。
- 「区分」 …売却、委託に基づく引き渡し、返還、破棄、自家使用などと記載します。販売した場合には「売却」と記載します。
- 「取引の相手方」 …取引の相手の情報を記載します。