よくある相談事例|別法人名義の物件を営業所にして古物商許可取得はできる?

古物商許可の取得にあたって、「営業所として認められるのか?」というご相談は非常に多く寄せられます。

特に多いのが、申請法人自身がその物件を直接契約していなくても、グループ会社や関連会社の名義で契約している事務所を営業所として使いたい、というケースです。

法人のお客様からは、「代表者の自宅を営業所にできるか?」「会社の事務所が別法人の名義だが大丈夫か?」といった不安の声をよく伺います。

今回は、神奈川県におけるよくある相談事例をもとに、別法人名義の物件でも古物商の営業所にできるのかについて、行政書士の視点から解説いたします。

別法人名義の物件でも営業所にできるか?

神奈川県内の法人様から、以下のようなご相談を受けるケースがあります。

神奈川県でのよくあるご相談事例

古物のリースを行っている法人様が、金融機関からの融資条件として古物商許可の取得を求められたという状況です。
その際、現在の本店所在地の物件がグループ会社(別法人)名義で契約されており、
「この物件を営業所として許可取得できるのか?」
「それが難しい場合は代表者の自宅を主たる営業所とするべきか?」
といった点についてご質問を受けることがあります。

前提として古物営業を行う場所を営業所とする

原則として、古物商は「営業所」として許可を受けた場所でのみ古物営業を行うことができます。
裏を返せば、申請した営業所以外の場所で古物営業を行うことは、原則として認められていません。

そのため、申請時に「どこを営業所として届け出るか」は、単なる書類上の形式にとどまらず、許可取得後の適正な営業に影響する判断項目となります。

適法性の観点からは、実際に古物営業を行う予定の物件(店舗や事務所)を営業所として申請するのが望ましいと考えられます。

ご相談事例のケースでいえば、別法人名義の物件(本店所在地)を営業所とはせずに、代表者のご自宅を主たる営業所として申請するという選択肢もございます。

しかし、実際にリース業の業務が行われている場所は本店所在地であったため、このケースでは、ご自宅ではなく本店所在地を主たる営業所とする方が、より適切であると考えられます。
特に、金融機関の融資が絡む場合には、仮に自宅を営業所として古物商許可証を取得したとしても、実際の営業実態と乖離がある場合、さらに営業所の変更・追加を求められるリスクも出てきます。

したがって、今回のようなケースでは、本店所在地を営業所とすることが適当であるといえるでしょう。

なお、会社の本店所在地とご自宅の両方を営業所として申請することも可能ですが、その場合はそれぞれの営業所に「管理者」を配置する必要があります。
実務上は、新たにもう一人管理者を確保しなければならないため、負担が増えることもあります。

ご相談事例では、代表者様お一人による運営体制であったことから、最も実態に即した一か所を営業所として申請しています。

なお、申請者が一人であっても、実質的に複数の営業所を管理できる体制が整っていると判断される場合には、同一人物が複数営業所の管理者を兼任することも可能です。

別法人名義の物件でも営業所にできる

神奈川県で古物商許可を申請する場合、グループ会社や関連法人など、別法人名義で賃貸契約されている物件であっても、営業所として認められるケースが一般的です。

実務的には、神奈川県内の申請では、賃貸借契約書や使用承諾書の提出は法定の提出書類ではなく、契約者名義まで詳細に確認される運用にはなっていません。
また、営業所に対する実査(現地確認)についても、神奈川県内では原則として実施されていないケースが多く見受けられます。

このような運用から、別法人名義の物件であっても、営業所としての申請に支障が出る可能性は比較的低いと考えられます。
基本的には、申請者がその物件を適切に使用できる権限を有していることを前提に、申請手続きが進められる運用です。

もっとも、将来的なトラブルを防ぐためにも、単なる口頭の合意ではなく、関係者間で「使用承諾書」を取り交わすなど、文書による合意を得ておくことが望ましいでしょう。古物商許可の法定要件ではありませんので申請書に添付する必要はありませんが、関係者間のトラブル防止のために望ましいです。

一方で、他県では、使用承諾書の提出が必要とされる場合があります。地域によって運用が異なるため、他県での申請を検討されている場合は、事前に管轄警察署への確認が重要です。

なお、今回ご紹介しているようなご相談事例においても、
実際にグループ会社(別法人)名義で契約されている事務所を営業所として申請し、支障なく古物商許可を取得することができています。
神奈川県内では、このようなケースに対しても柔軟な対応がされており、実務上も許可取得に問題が生じる可能性は低いといえるでしょう。

古物商許可は融資審査で求められるケースも

古物営業に該当する事業を行っている場合、金融機関からの融資審査の際に、古物商許可の取得が条件とされるケースがあります。

ご相談事例の中でも、金融機関から「古物商許可証の提出」を求められたことが、早急な許可取得を検討するきっかけとなることが多く見受けられます。
このような場合、申請中であるだけでは不十分で、実際に許可証を提示しなければ融資を受けられない点に注意が必要です。

古物商許可は、申請準備から許可証の交付までおよそ1か月以上かかるのが一般的です。
融資や契約に間に合わせるためには、早めの準備と申請が重要です。

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