中古釣り具の売買に古物商許可は必要?申請時のポイント

中古釣り具は、近年フリマアプリやネットオークションの普及により、個人間でも活発に取引される人気ジャンルとなっています。

しかしながら、中古品の売買には「古物営業法」が関わる場面も多く、知らずに繰り返し販売していると、無許可営業に該当してしまうリスクがあります。

この記事では、行政書士の視点から、中古釣り具の売買に古物商許可が必要となるケースや、申請時の注意点について、わかりやすく解説します。

目次

中古釣具で古物商許可が必要なケース

営利目的で反復継続して中古釣り具の売買を行う場合には、古物商許可が必要です。

これは、例えば中古釣り具の買取販売店を開業するケースが代表例ですが、インターネット上のみで中古釣り具を売買する方も同様に許可が求められます。

この許可が必要かどうかは、「本業か副業か」「個人か法人か」「実店舗があるかどうか」は関係ありません。

中古釣り具の売買で古物商許可が必要な典型例
  • 釣具専門の中古買取店や中古釣り具のECショップを開業する場合
  • 中古釣り具をネット上で継続的に仕入れて販売する場合
  • 中古釣り具をレンタルで貸し出す場合

近年は、中古釣り具のレンタルサービスを展開する事業者も増えています。

このように、仕入れた中古釣り具を貸し出すサービスにも、古物商許可が必要となります。

これは、古物営業法においては古物の「交換」も古物営業に含まれるためです。中古車のレンタカー業に古物商許可が必要なのと同様に、中古釣り具のレンタルやリースも古物の交換にあたるため、同じく許可が求められます。

中古釣り具の売買に古物商許可が不要なケース

一方で、営利目的ではない場合には古物商許可は不要です。

たとえば、自分で使っていたリールやロッドをフリマアプリに出品する場合であれば、許可は不要です。

以下に、古物商許可が不要となる典型的な事例を紹介します。

古物商許可が不要な典型例
  • 自分で使っていた竿やリールを売却する場合
  • 新品の釣り具を購入して、これを販売する場合
  • 海外から購入した中古釣り具を国内で販売する場合


※ただし、国内で仕入れた中古釣り具を海外で販売する場合は、古物商許可が必要になります。仕入れ元が日本国内かどうかが判断の分かれ目となります。

中古釣具を扱う際の古物商許可申請のポイント

中古釣り具を取り扱うために古物商許可を取得する際には、いくつかの注意点があります。

特に「品目の選択」「標識の作成」に触れて紹介します。

選ぶべき品目(中古釣具に適した区分)

古物商許可の申請時には、取り扱う古物の区分(品目)を選んで申請する必要があります。

許可後は、申請した品目に該当する古物のみを扱うことができるため、取り扱う可能性のある品目は最初に幅広く選択しておくことが重要です。

釣り竿やリールなどは古物の品目のうち「道具類」に該当する可能性が高いため、まず最低限この「道具類」は選択して申請するようにしましょう。

その他、中古釣具を取り扱う場合に該当し得るのは、以下の品目です。

  • 道具類」
    釣竿、ルアー、リール、アウトドア用品など、多くの釣具がこの「道具類」に分類されます。釣具を扱う場合、まずこの品目を選択しましょう。
  • 機械工具類」
    魚群探知機や電動、バッテリー式の釣り関連用品などは、「機械工具類」に分類される可能性があります。
  • 写真機類
    水中カメラや撮影機材なども併せて取り扱う場合には「写真機類」も必要となります。
  • 衣類」
    防寒着、レインウェア、ライフジャケットなど、衣類も取り扱う場合は「衣類」を選びましょう。
  • 皮革・ゴム製品類」
    フィッシングシューズや長靴、手袋などの履物や装備品も取り扱う場合は、この「皮革・ゴム製品類」も選択してください。
  • 書籍」
    釣り雑誌や専門書などの中古の書籍を扱う予定がある場合には、「書籍」の品目も併せて申請しておくと安心です。

迷ったらまとめて選択をしよう

許可を取得された後に、新たな品目を追加するには変更届出が必要になります。将来的に取扱商品が広がる可能性がある場合は、初めから関係しそうな品目をすべて選択しておくのが無難です。

迷う場合は、「道具類」だけでなく、釣具に関連しそうな品目は幅広く申請しておくと安心です。

標識(プレート)の作成

古物商許可を取得したら、営業所に標識(プレート)を掲示しなければなりません。

この標識は、警察署から交付されるものではなく、自分で作成・購入する必要があります。

一般的には楽天市場やAmazon、古物商の業界団体などで、数千円程度で簡単に作成できます

なお、「●●●商」の部分は、申請時に記載する内容で決まります。
例えば、釣具店を開業する場合で、古物商許可申請書の「主として取り扱おうとする古物の区分」を「道具類」と選択した場合、標識には「道具商」と反映させる必要があります。

釣具買取店の開業で融資を受ける際の注意点

中古釣具店や釣具買取店を開業する際、資金調達のために金融機関から融資を受けたいと考える方も多いでしょう。

このとき注意すべきなのは、古物商許可を取得していない状態では、融資手続きを進められないケースが非常に多いという点です。実際に、「先に古物商許可を取得してください」と金融機関から指摘を受け、ご相談に来られる方も少なくありません。

中古品を取り扱うビジネスの場合、古物営業法に基づく許可の取得が法的に必要なため、金融機関側も「古物商許可」取得を求めてくるのが一般的です。

したがって、事前にテナント契約や事業計画を整えていたとしても、古物商許可が取得できていないと、融資が遅延し開業スケジュールに大きな影響を与える可能性があります。

なお、金融機関には単に申請しただけでは不十分で、実際に許可証が発行されている必要があります

古物商許可の取得には、申請から実際に許可が下りるまで通常40日程度かかります。スムーズに開業・融資を進めるためにも、できるだけ早めに古物商許可申請を行うことが重要です。

古物商許可のことなら当事務所にお任せください

中古釣具の販売や買取を行うにあたり、古物商許可の取得は避けて通れない重要な手続きです。

許可申請に不備があると、審査に時間がかかったり、最悪の場合は不許可となることもあります。

当事務所では、古物商許可に特化した行政書士が、申請準備から提出、取得後のサポートまでを丁寧に対応いたします。

「どの品目を選べばよいかわからない」「営業所が審査に通るか不安」「融資のために許可を急いで取りたい」など、個別の事情にも柔軟に対応いたします。些細なご相談でも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。

土日・祝日・夜間も対応

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