遺品整理業の開業に古物商許可は必要か?

遺品整理業を始めたいと考えたとき、多くの方が悩まれるのが「どんな許可や資格が必要なのか?」という点です。

遺品整理業は事業内容や業務の範囲によって、必要となる許可や資格も変わってきます。

本ページでは、遺品整理業における古物商許可の必要性を中心に、許可が必要となる場合・不要な場合の違い、その他関連する許認可との関係について、行政書士の視点から紹介いたします。

目次

遺品整理業とは?

遺品整理業とは、亡くなられた方の自宅や部屋の遺品を整理・分類し、必要に応じて遺族へ引き渡す、または不要物として処分・再利用する一連の作業を請け負う業務を指します。

ただし、現行の法律上「遺品整理業」という明確な定義は存在しません。

日本標準産業分類にも該当する分類はなく、また業法のような業種専用法もありません。そのため、事業者によって提供するサービスの内容は多様であり、「仕分け」「搬出」「清掃」「買取」「廃棄処分」など幅広く対応しているのが実態です。

遺品整理業者に古物商許可が必要なケース

遺品整理業者は、依頼者の依頼に基づき遺品の分別や搬出などを行うのが基本的な業務ですが、この業務に付随して遺品の買取サービスを行うことが見受けられます。

遺品整理業を行うにあたって、次のような代表的なケースでは古物商許可が必要になります

  • 遺族から買取を依頼された遺品(時計、宝飾品、骨董品、家具など)を買い取る
  • 遺族から買取を依頼された遺品を修理して販売する

営利目的で古物を有償で買い取って再販する行為は「古物営業」に該当します。したがって、整理した遺品の中に再販売可能な物品が含まれており、それを買い受ける場合は、都道府県公安委員会から古物商許可を取得する必要があります

実務上も、遺品整理に付随して買取ニーズが高い業界であり、特に高額品が含まれる場合が多いことから、古物商許可を取得していないと問題となり得ます。

古物商許可が不要となるケースとは?

遺品整理業者のすべてが古物商許可を取得する必要があるわけではありません。
業務の内容によっては、許可不要とされるケースも多く存在します。

以下のような業務を行うだけであれば、原則として古物商許可は不要です。

  • 遺品の分別・搬出・処分のみを行う場合
  • 無償または引取料をもらって回収する場合

たとえば、遺品をまとめて回収し、処分場やリサイクルセンターへ搬入する作業のみを行っている業者であれば、古物商許可は不要です。

「仕入れの態様」によって判断が分かれる

古物営業法では、単に古物を売ること自体を一律に規制しているわけではなく、その取得の方法=仕入れ方により、許可が必要かどうかが分かれます。

  • 無償で譲り受けた物や、
  • 引き取り料を受け取って回収した物

これらを後日販売したとしても許可は不要です。

無償又は逆に引取料を徴収して引き取った古物を販売する場合やこれを修理して販売する形態は、法第2条第2項第1号の「古物を売却すること」のみを行う営業として法の規制の対象から除外されます。

したがって、古物の買い受け、交換又は委託により、売り主等に何らかの利益が生じる場合は許可が必要ですが、全くの無償で引き取ってきたもの、又は逆に手数料を貰って引き取ったものを販売する場合には、古物商許可は不要です。

買取を伴う場合は要注意

近年では、遺品整理と併せて買取販売を行う業者も増えています。
価値のある遺品を「有償で買い取る」といった業務が含まれることになり、古物商許可が必要となります。

事業拡大の過程で買取業務を始める可能性がある場合には、早めに許可取得を検討するようにしましょう。

その他、必要となる可能性のある許可

古物商許可以外にも、遺品整理業ではサービス内容に応じて以下のような許可が必要となる場合があります。

一般廃棄物収集運搬業の許可

遺品整理業において、不要となった遺品を依頼者に代わって運搬・処分まで行う場合には、「一般廃棄物収集運搬業の許可」が必要となるケースがあります。

この許可は、市町村が認めた業者にしか与えられないものであり、自治体が定める「一般廃棄物処理計画」に適合し、かつ市町村の廃棄物処理能力を超えると認められた場合に限って、個別に許可が出されます。

したがって、たとえ十分な能力や体制を備えていたとしても、市町村の政策判断によって許可が下りないことも多く、誰でも取得できるわけではありません。

そのため、許可を取得していない事業者は、「許可を持つ業者に収集運搬を依頼する」、「遺品をまとめて自社に持ち帰り、選別後、自社の産業廃棄物として処理する」など事業者によって対応の実態は様々です。

産業廃棄物収集運搬業の許可

遺品整理業では、原則として処理される物の多くは家庭系の廃棄物です。したがって、一般家庭を対象とした業務を主に行っている限りでは、産業廃棄物収集運搬業の許可は必須ではありません。

しかし、法人案件や事業系の依頼に対応する可能性がある場合には、将来的な対応範囲を見据えて取得を検討する価値があります。

古物商許可のことなら当事務所にお任せください

遺品整理業の開業にあたっては、古物商許可の取得が推奨されます。
当事務所では、古物商許可に特化した行政書士が、申請から取得後のサポートまで一貫して対応いたします。

「営業所の要件を満たしているか不安」「品目の選び方がわからない」「急ぎで取得したい」など、個別の事情にも柔軟に対応可能です。

また、古物商許可と一緒に、産業廃棄物収集運搬業許可の申請もあわせて承っております。

下記からお気軽にお問い合わせください。

土日・祝日・夜間も対応

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