法人で古物商許可を取得する際には,個人申請と比べて「注意すべき点」が多数あります。
本ページでは、法人で古物商許可を申請する際の必要書類や注意点を紹介します。
法人で古物商許可を申請する際の必要書類
法人で古物商許可を申請する場合、以下の書類の提出が必要となります。
申請書、略歴書、誓約書などの用紙は、各都道府県警察の公式サイト(警察本部のホームページ)にて公開されており、無料でダウンロードすることが可能です。
ただし、これらの様式は都道府県ごとに異なるフォーマットが使用されているため、「主たる営業所」が所在する地域を管轄する警察本部のホームページを確認し、正しい様式を使用するようにしましょう。
- 古物商許可申請書
- 略歴書(役員全員および管理者)
- 本籍が記載された住民票の写し(役員全員および管理者)
- 誓約書(役員全員および管理者)
- 身分証明書(役員全員および管理者)
- URLの使用権原があることを疎明する資料(ネットでの売買を行う場合)
- 法人の定款コピー
- 法人の登記事項証明書
資料の集め方や詳細は下記のページを参照ください
必要書類の概要
1.古物商許可申請書
法人申請の場合も、許可申請書は別記様式第1号その1(ア)、その2、その4により行います。
ただし、役員が複数いる場合には、別記様式第1号その1(イ)が追加で必要となり、営業所を複数置く場合には別記様式第1号その3が必要となります。
法人申請の場合、個人申請の場合よりも記入項目が多く,個人申請より精密性が要求されます。
2.略歴書
略歴書は過去5年分の経歴を記入する書類です。
法人申請の場合、役員全員および管理者の分の略歴書をご用意する必要があります。ただし、役員が管理者を兼任される場合にはその方の分は一通で足ります。
記載に関してはルールが存在しますので、警視庁等で公開されている記載例をもとに記入しましょう。
3.本籍が記載された住民票の写し
役員全員および管理者の分の住民票の写しが必要です。
住民票については、本籍が記載されていること、マイナンバーや続柄の記載はないこと、発行から3カ月以内であることが条件です。
役員と管理者を兼任される場合には、その方の住民票は一通で足ります。
4.誓約書
法人申請の場合には、役員全員と管理者の誓約書が必要です。
法人申請の場合、法人役員用、管理者用の誓約書用紙を用意の上、直筆にて署名を行います。
もし役員が管理者を兼ねている場合であっても、その方は役員用と管理者用の2枚の誓約書への記入が必要になりますのでご注意ください。
5.身分証明書
法人申請の場合についても、役員全員分と管理者の身分証明書が必要です。役員が管理者を兼任される場合には、その方の身分証明書は一通で足ります。
この身分証明書は、パスポートや運転免許証などの本人確認書類とは異なるもので、破産者で復権を得ていないものか等を確認するために必要となる書類です。
6.URLの使用権原があることを疎明する資料
メルカリやECサイトなどのように、インターネットを利用して古物の売買を行う場合には、申請の際にそのURLも記入の上、警察に届け出る必要があります。
その際、同時に「URLの使用権原があることを疎明する資料」の提出が必要となります。
インターネットを利用して古物の売買を行わない場合、URLが存在しない場合などは提出は不要です。
7.法人の定款コピー
法人申請ならではの書類として定款コピーの提出が必要です。
定款は、全ページを漏れなくコピーの上で提出する必要があります。一部ページの抜粋や改ページの抜けがあると、受付時に差し戻される可能性があります。
古物商許可の審査においては、定款の事業目的の内容は古物商許可の法定の要件ではありません。したがって、どのような事業目的であっても許可を取得する上では問題ありません。とはいえ、「古物営業」「古物の売買」などの文言が事業目的に含まれているかをチェックする地域もあります。
地域によって判断が分かれるため、申請前に管轄の警察署へ確認することが安心です。
8.法人の登記事項証明書
登記事項証明書のうち、古物商許可申請で求められるのは具体的には履歴事項全部証明書です。
法人申請の場合であっても、賃貸借契約書や使用承諾書の提出は原則として不要です。ただし、一部の地域は提出を求められるケースがありますので、事前の確認をおすすめします。
法人申請の際のポイント
申請書の記載ミスに注意
法人申請の場合、個人申請の場合よりも記入項目が多く,個人申請より精密性が要求されます。
複数営業所がある場合などは「主たる営業所」とその他の営業所の区別を適格に行った上で、申請書に丁寧に記入するようにしましょう。
また、氏名・住所・法人名などの情報は、住民票や登記事項証明書の記載と完全に一致させる必要があります。スペースや文字の表記まで細かく確認されるため、一つひとつ丁寧に照らし合わせながら記入しましょう。
申請先は「主たる営業所」の所在地を管轄する警察署
法人で古物商許可を申請する際に、本店所在地の管轄の警察署に申請するものと誤解されるケースが少なくありません。
しかし、申請先となるのは、「主たる営業所」の所在地を管轄する警察署です。
この点を誤ると、申請書の記載内容や提出先を間違えてしまう恐れがありますので、特にご注意ください。
とくに、本店所在地では古物営業を行わず、別の場所に店舗を構えている場合は注意が必要です。
申請時には「主たる営業所」の場所がどこなのかを正しく把握し、それに基づいて申請書を作成・提出する必要があります。
本店所在地とは異なる場所を「主たる営業所」として申請することも可能
本店所在地とは異なる場所を「主たる営業所」として申請することが可能です。
たとえば、法人の本店所在地が東京都にあり、実際に古物の売買を行う店舗を神奈川県内で賃借している場合、神奈川県の店舗を「主たる営業所」として申請することができます。
このケースでは、本店所在地(東京都)で古物営業を一切行わないのであれば、本店所在地を「営業所」として申請する必要はありません(この場合、本店所在地では古物営業はできませんのでご注意ください)。
ただし、上述の通り、主たる営業所を本店以外の場所に設定する場合は、管轄警察署に注意が必要です。
古物商許可の申請先は、「主たる営業所」の所在地の管轄警察署になります。したがって、上記の例では神奈川県警が管轄する警察署が申請先となります。
定款の目的に古物営業の文言が必要か?
法人の古物商許可の申請にあたり、定款の事業目的に「古物営業法による古物の売買」「古物の売買」「古物商」などの文言が必要かどうかは、申請先の地域によって対応が分かれます。
基本的には、定款の事業目的の内容は許可の要件ではありませんので、定款の事業目的に古物営業に関する文言が含まれていなくても審査上問題ありません。
たとえば、神奈川県では、定款の内容はどのような事業目的でも良いとされ、申請に際しての定款変更も不要と県警本部にて確認を得ています。
ただし、一部の地域では、事業目的の内容についてチェックを受ける可能性があります。
そのため、申請をスムーズに進めるためにも、管轄する警察署へ、定款変更が必要か確認しておくことをおすすめします。
法人名義で許可が下りる
法人で申請を行った場合、古物商許可は法人名義で交付されます。
そのため、古物の取引は必ず法人名義で行う必要があります。役員の方が個人名義で古物営業を行うことはできませんので、ご注意ください。
また、法人から個人へ許可の名義を変更したい場合でも、古物商許可には名義変更の制度がありません。そのため、一度法人として取得した許可を返納し、改めて個人として新規申請を行う必要があります。
URLの届出と疎明資料
法人申請の場合でも、インターネットを利用して古物の売買を行う場合には、「URLの届出」「URLの使用権限を疎明する資料」の提出が必要です。
「URLの使用権限を疎明する資料」には、例えば、メルカリであればプロフィールページのスクリーンショットを提出するのが手っ取り早いです。提出するスクリーンショットには、該当URLとあわせてフルネーム(法人申請の場合は法人名)が表示されている必要があります。
法人申請に外国人役員がいる場合の注意点
法人申請において、外国人の役員がいる場合は、次の書類が追加で必要となります。
- 在留カード(表裏両面)のコピー
※外国に居住している役員の場合は、パスポート等の写しを求められることもあります(詳細は管轄の警察署にご確認ください)。
また、申請書の記入時には、外国籍の方については生年月日を和暦ではなく西暦で記載する必要がありますので、この点もご注意ください。
法人で古物商許可を申請するなら、行政書士への依頼がおすすめ
法人での古物商許可申請は、個人に比べて提出書類が多く、手続きにも正確さが求められます。営業所の区別や管轄警察署の選定など、注意すべき点も多いため、専門家に依頼することでスムーズに進めることができます。
当事務所では、法人申請に多数の実績があり、書類作成から申請代行、許可証の受領まで一貫してサポートしています。
無料相談もご利用いただけますので、心配な点がある場合はお気軽にご相談ください。
当事務所のサポート内容と料金は、以下のとおりご案内しております。
■法人向け料金プラン
フルサポート | スタンダード | ライトプラン | |
対応地域 | 東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県 | 全国対応 | 全国対応 |
警察署との調整 | ✅ | ✅ | ✅ |
申請書の作成 | ✅ | ✅ | ✅ |
略歴書等作成 | ✅ | ✅ | ✅ |
公的書類の取得 | ✅ | ✅ | – |
登記事項証明書(法人) | ✅ | ✅ | – |
警察署への提出代行 | ✅ | – | – |
許可証の受領代行 | ✅ | – | – |
無料相談 | ✅ | ✅ | ✅ |
変更届出作成割引※1 | ✅ | ✅ | ✅ |
行政書士料金※2 | 43,450円 | 26,400円 | 14,850円 |
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