古物商許可申請には、申請書はもちろん、住民票や身分証明書などの添付書類が必要となります。
本記事で、法人申請の場合にどのような書類が必要となるのか解説していきます。
古物商許可の申請に必要な書類(法人用)
古物商許可の申請に必要な書類を紹介していきます。
法人申請の場合には、次の書類が全国共通で必要です。なお、⑥はインターネットを利用して古物の取引を行う場合に限り必要です。
- 古物商許可申請書
- 略歴書
- 本籍が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
- URLの使用権原があることを疎明する資料
- 法人の定款コピー
- 法人の登記事項証明書
提出が不要になったもの、全国共通ではないもの
- 「顔写真」…管轄の警察署によっては提出を求められることもありますが、基本的には提出を求められることはありません。
- 「登記されていないことの証明」…法改正によって2019年12月14日から提出は不要となりました。
- 「使用承諾書」…原則提出不要となりましたが、管轄の警察署の判断次第によっては提出を求められることがあります。
- 「営業所の見取り図」…管轄の警察署によっては提出を求められる場合があります。全国共通の提出書類ではありません。
古物商許可は管轄の警察署によって判断が分かれるローカルルールが多い手続きとなっています。古物商許可の申請前に、あらかじめ営業所の所在地を管轄する警察署に電話をして任意で提出すべき書類の有無についても確認しましょう。
①古物商許可申請書
古物商許可を申請するにはまず古物商許可申請書が必要となります。
古物商許可申請書は複数のパターンがありますが、申請者の状況に応じて必要なものが異なります。
法人申請の場合には、古物商許可申請書の「別記様式第一号その1(ア)」、「別記様式第一号その2」「別記様式第一号その4」の三枚の書類の記入が必要です。
法人の役員が複数いる場合には「別記様式第一号その1(イ)」も追加で必要です。
また、営業所を複数置く場合には、これらに加えて「別記様式第一号その3」も追加で必要となります。
申請書の用紙は、各都道府県警察のホームページからワード又はPDF形式でダウンロードが可能です。
東京都の場合には、以下のボタン又は警視庁のホームページから用紙をダウンロードすることができます。
②略歴書
古物商許可申請には、古物営業法施行規則により略歴書の提出が必要です。
法人申請の場合、この略歴書は役員全員及び管理者の略歴書が必要となります。
この略歴書は、氏名、住所、作成日から最近5年の経歴を記載する書類で、欠格事由に該当するか否かを確認するために必要となる書面となります。
略歴書の用紙は、各都道府県警察のホームページからダウンロードが可能です。
東京都の場合には、次のリンクボタンからも略歴書の用紙をダウンロードすることができます。
略歴書は、経歴の書き始めの部分についてややこしいルールが存在します。最近5年の経歴を記載する書面ですが、実際には5年以上遡らなければならない場合が多いため、書き方について以下の記事で事前に確認することをオススメします。
③本籍が記載された住民票の写し
古物商許可申請には、役員全員と管理者の住民票を添付する必要があります。
住民票は東京都の場合には、窓口発行で一通300円、コンビニ発行で一通200円で発行が可能です。
なお、住民票は、発行から3カ月以内の住民票である必要があります。また、住民票には本籍地の記載がありのもので、マイナンバーや続柄の記載がないものを添付する必要があります。
- 発行から3か月以内のもの
- 本籍地の記載ありのもの
- マイナンバー・続柄の記載がないもの
④誓約書
誓約書は、個人用、法人役員用、管理者用の三種類あります。この誓約書は主に、欠格事由に該当しないことを誓約する書面です。
法人申請の場合には、役員全員と管理者の誓約書が必要です。もし役員が管理者を兼ねている場合であっても、役員用と管理者用の2枚の誓約書が必要になりますのでご注意ください。
法人の場合、法人役員用の誓約書、管理者用の誓約書に住所・氏名を直筆で記入します。古物商許可申請書はPCで作成しても問題はありませんが、誓約書は直筆で書くようにしましょう。
用紙は、都道府県警察のホームページからダウンロードすることが可能です。東京都の場合、下記のリンクから法人役員用と管理者用の誓約書をダウンロードすることができます。
⑤身分証明書
法人申請の場合、役員全員分と管理者の身分証明書が必要です。
この身分証明書は、パスポートや運転免許証などの本人確認書類とは異なるもので、破産者で復権を得ていないものか等を確認するために必要となる書類です。
身分証明書によって確認できる内容は以下のものがあります。
- 禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない
- 後見の登記の通知を受けていない
- 破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない
古物商許可を受けるには、成年被後見人、被保佐人、破産者に該当しないことが条件となるので、「身分証明書」を提出することにより、これらに該当しないことを証明することができます。
身分証明書の取得方法
身分証明書の取得先は「本籍地」の市区町村です。本籍地の市区町村の窓口又は郵送で身分証明書を取得することができます。
窓口発行であれば、手数料分の現金(一通300円)と、本人確認書類を持参の上で住民票と同じ要領で取得することができます。なお、身分証明書はコンビニ発行はできません。
郵送発行の場合は、本籍地の市区町村が用意する交付請求書に必要事項を記入し、以下の添付書類一式を同封して本籍地の市区町村に郵送することで取得が可能です。手元に届くまで一週間~10日ほどを要します。
- 交付請求書
- 手数料分の定額小為替
- 本人確認書類(免許証、マイナンバーカード等)のコピー
- 返信用封筒(切手を貼りつけたもの)
ご自身の本籍地がどこにあるか分からない場合には、まず住民票を発行しましょう。本籍地の記載有りで住民票を発行することで、ご自身の本籍地がどこかを確認することができます。
⑥URLの使用権原があることを疎明する資料
自社サイトやAmazon、楽天、メルカリなどのインターネットを利用して古物の取引を行う場合には、古物商許可申請書の「別記様式第一号その4」によりその取引を行うサイトのURLを警察に届け出ます。
この場合、これに加えて、その届け出たURLについて、「URLの使用権原があることを疎明する資料」という書面の添付が別途必要になります。
「URLの使用権原があることを疎明する資料」は特に決まった形式はありません。
例えば、自社サイトを利用して取引を行う場合には、「WHOIS情報」に自社のドメインを入力してその検索結果を印刷した書面や、プロバイダからドメインの割り当て通知書を発行してもらうことで、この疎明資料とすることができます。
利用するサイトによって何がURLの疎明資料となるかは異なりますし、管轄の警察署によっては疎明資料の要不要の判断が割れますので、あらかじめ警察署に相談することをおすすめします。
なお、インターネットを利用して取引を行わない場合には、URLの使用権原があることを疎明する資料の提出は不要です。
⑦法人の定款コピー
法人申請の場合、古物営業法施行規則第1条の3第3項第2号イの規定により、定款が必要です。
定款は、1部を会社に備え付けておかなければないものであるため、基本的に会社に定款は保管されています。
古物商許可申請で提出する定款には、その事業目的に「古物商」「古物の売買」などを行う旨の文言が少しでも記載されている必要があります。定款の事業目的にそのような文言がない場合には、目的追加の変更登記などの手続きをとる必要があります。また、申請を急いでいる場合には後で手続きを行う旨を約束する「確認書」を提出することでとりあえず受理してもらうことも可能です。
⑧法人の登記事項証明書
登記事項証明書のうち、古物商許可申請で求められるのは具体的には履歴事項全部証明書です。
履歴事項全部証明書は以下のような方法で取得が可能です。
- 法務局等に出向き窓口発行
- オンラインで請求し、郵送で受け取る
- オンラインで請求し、法務局等の窓口で受け取る
登記事項証明書が取得できたら、役員、住所などの情報が住民票などの他の書類と一致していることを確認しましょう。
必要書類の収集も行政書士にお任せ
必要書類について判断に迷っている場合には、管轄の警察署やお近くの行政書士にご相談ください。
当事務所でも、無料でご相談に応じておりますので、お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。